ブラジル事件簿2

 

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倒れた30m級の街路樹は車を押しつぶし、電線を引きちぎった

街路樹がサンパウロの町から消える

 昨年末から毎日のように夕方暴風雨を伴うスコールが続き、サンパウロ市内では多大な被害が出ている。

W杯前からの雨不足は、雨季に入った今も同様で、サンパウロ市の水瓶カンタレイラ湖周辺では雨が降らず貯水量は7%前後の状態が続いている。それだけに市民も最初は雨を歓迎していたが、スコールはサンパウロ市内だけにしか降らず、さらに人々の予想をはるかに超えた激しい暴風雨で、最近、市民は戦々恐々としている。

突然の集中豪雨は驚くほどの速さで市内各地を冠水させ、道路は川と化す。あっと言う間の冠水にドライバー達は車を避難させることもできず、川と化した道路を多くの車がドンブラドンブラ流されていくシーンがテレビでしばしば流されている。その様子は、まるで超異常気象が世界を襲う映画の中の1シーンのようでさえある。 冠水の原因のひとつは道路に捨てられた、ゴミを入れたビニール袋が排水口を塞ぐためだと言われている。さらにアスファルトやコンクリートで表面を固められた地面は、水を一切吸収せず川化する。占拠した低地に小屋を建て住んでいる多くの人々が、家電や家具を水没により失い、途方にくれている。 豪雨に伴い吹き荒れる強風は時速90キロを越え、年始年末には市内の街路樹が500本ちかくなぎ倒された。約30mの大きな街路樹が電線をひきちぎって倒れ、各地で停電が引き起こされた。普段ほとんど手入れがされていない多くの街路樹はクッピン(白アリ)に食い荒らされ、強風が吹くとひとたまりもなく倒れてしまうのだ。1月10日には高級住宅街ジャルジン・パウリスタで30本近い街路樹が電線を引きちぎり倒れ、停電が引き起こされた。

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クッピンに食い荒らされ、中は空洞に

あまりにも膨大な被害に、テレビのアナウンサーも、「もうすべて切り倒すしかないですね」と嘆いた。ただでさえ、サンパウロは潤いのない殺伐とした町なのに、街路樹がなくなったらどうなるのだろう。このままいったら、ほとんどの街路樹が切り倒されてしまう可能性もある。個人的に言えば、灰色の建物だらけのサンパウロの町に唯一清涼感と潤いを与えてくれている街路樹を切って欲しくない。しかし、これほどたくさんの被害がでてしまっては、それも仕方がない。どのみちクッピンに食い荒らされた街路樹は枯れて倒れてしまうだろう。街路樹を大切しなかったツケが今やってきたのだ。非常に残念だ。今後、都市計画のひとつとして街路樹の予算を確保し、クッピンに強い樹種の植樹、枝切り剪定など、街路樹の管理を行って欲しい。自転車道路の整備に大金をつぎ込むより、ずっと必要なことだと思うが・・・。

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