拒絶されたコミュニダージ(貧民街)の救急患者

 

救急車SAMU

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 リオでも危険地帯とされるコミュニダージ、コンプレックス・アレマで、急患の息子を救うために母親が救急に電話をかけた。息子が急患なので来て! という依頼に電話を受け取った女性は、その場所は危険なので出動できません、という非常な対応であった。電話のやりとりがTVで流れ、アナウンサーは憤慨し、税金を払っているのに、なんで行かないんだ、と憤慨する。

 しかし、このアナウンサーが救急隊員だったら、夜のコミュニダージに急患患者迎えにいくだろうか? 行かないだろう。それは断定できる。はっきり言ってラジル人は他人のことなどほとんど関心が無い人がほとんどだ。自分の身の危険を冒してでも助けにいくとはとても考えられない。あえて、「どう思う?」とブラジル人の友人に聞くと話すと、「もちろん、アナウンサーも、行けないが仕方がない、と解っているよ。だけど、TVだから表面的だけでも、そういう「正義」の態度をとっておかないとだめなんだ」という答えだった。

この頃は郵便配達員なども、配達の郵便物を狙って襲われることが頻発するために、コミュニダージには届けに行かなくなった。郵便物はコミュニダージに一番近い郵便局に差し止めにされ、その郵便局までコミュニダージの人々は取りに行かなければならないらしい。これに対して文句を言う人もいるらしいが、警察の捜査があっても、麻薬組織をおそれて、ほとんどの住人は何も言わず警察に協力しないことを考えると、郵便配達員を非難することはできない。

オリンピック時には、地方から派遣された軍隊がコミュニダージに迷い込み殺された事件があったし、つい最近もバイクで旅行するイタリア人がコミュニダージに迷い込み殺される事件があっただけに、真夜中に、赤いランプの警告灯をつけコミュニダージの中を走ることは、戦争で言うと、敵地の中を、味方を救うために走るのと同じでことでる。やはり、拒まれても仕方がないとしか言えないだろう。もし電話をかけた母親が、その地域の麻薬組織ボスに話をつけるなどしていたら、また話は変わったかもしれない。何もしないで一方的に救急隊を非難することはできないと思う。

日本の旅行者やマスコミはそういう危険を何も考えずにいきたがる人が多いらしいが、コミュニダージに入り、さらに写真やビデオを撮影することは命がけだと言って過言ではない。よく、コミュニダージに住み着きホテルなどを経営する外国人がいると話題になることがあるが、麻薬組織が支配していない幾分安全なコミュニダージである場合が多い。

コミュニダージは単なる好奇心で個人が行くところでは決してないのである。どうしても行きたいなら、リオにはコミュニダージツアーがあるので、そういうツアーに参加するのが賢明である。今のコミュニダージの多くは、ちょうど陸の孤島のような状況である

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