オリンピックこぼれ話ー民度の低さ

オリンピック村で、個人所有のIパッドからチームのTシャツ、備え付けのシーツまで盗難が頻発していという。 

 オリンピック村と言えば、世界中からその国を代表するスポーツ選手が開催中寝起きする大会で最も重要な場所のひとつである。そんな場所で、盗みが頻発しているというのは普通考えられないことである。オリンピック村で盗みが多発し選手団が頭を悩ませるなんて今まで聞いたこともない。まさに、この国の人間のレベルがいかに低いかを世界中に知らしめているようなものだ。ブラジルに20数年住んで、半分ブラジル人になってしまったような僕は、この話を聞いて非常に恥ずかしかったし情けなかった。

もっとも、国のトップである大統領が汚職贈賄をして別荘をかったり私腹を肥やしたり、ばれても知らん顔をしてなんとか逃げ切ろうとするのだから、オリンピック村で働く人々が、PCを盗んだり、シーツを盗んだりしてもたいして罪の意識を感じないのも当然と言えば徒然と言えるのかもしれない。元大統領は、わるびれることなく未だに次期大統領の椅子を狙って次選に立候補するようだ。

数年前、知人が経営する日本食店で閉店間際までちびちびと酒を飲んでいて従業員のおかしな行動を見て最初何をしているのか解らなかった。仕事を終えた女性たちが次々とオーナーの前に来てカバンを開いて「さようなら」と言って帰っていくのだ。聞くと「何も盗んでいないよ」と見せるためにカバンを開けているんだよ、と言う答えが返ってきた。随分前からの習慣らしい。この習慣は今でもあり、こまごました物を売るアクセサリー店や装飾品店はいまだに続いているらしい。それだけモノを盗んでいく従業員が多いからだろう。 

 また、こんな話も聞いた。コミュニダージの写真を撮りに通っている頃、ボランティアの方がぽろりと漏らした。「コミュニダージに住んでいる人に頼まれて何回か知人の所に仕事を紹介したんだけど、調味料やちょっとしたものをチョコチョコ盗んじゃうの。紹介した方も責任があるし、結局紹介できなくなっちゃった」というのだ。リベルダージにある小さなスーパーの日本人経営者を取材したときには「金持ちの子供でも万引きするから、どんなお客が入ってきても決して油断できないんだ」と言われた。

 最初は、盗みが生活の中で、日常的に存在することは信じられなかったが、あまりにも多くの同じような話を聞き、また僕自身も子守に雇った人間から盗みの被害を受け「盗み」がごく普通に行われていることを確信した。盗みを働いた人間は別に悪びれたところもなく、いわゆる盗みの病という訳でもない。「盗み」に対して罪の意識が希薄なように感じた。ブラジルは、世界で最も多くのカトリック人口を擁する国で、国民の約73%が、カトリックの信者だと言われている。プロテスタントやその他の宗教を入れたらほとんどの人が何らかの宗教に関わっていることになる。キリスト教には第8の戒めに「盗んではならない」という戒めがあるはずなのに、「盗み」が日常的に行われているということは俄かには信じられない。他の宗教にしても、盗みは罪の一つだろう。国民の大多数が宗教に入っているということは、裏を返せば、それだけ罪人が多いからということもできる。

 今回、オリンピック村での頻発する盗難事件やリオ市長の不用意な言動のニュースを見ていて国民意識のレベルの低さ、民度の低さを痛感した。明るくて驚くほど気の良い愛すべき人々もたくさんいるだけに非常に残念だ。

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