車優先の国、ブラジル

 DSC_6886 今朝、犬の散歩で2度も車にしかれそうになった。それも、わずか5分ほどの間にである。1度目は一方通行を逆進してくる車に、そして2度目は赤にもかかわらず猛スピードで突っ込んでくる車にである。1度目の車は、スピードを出していなかったので、簡単に避けることができたが、2度目は、赤信号(その車に)だったので信号無視して突っ込んで来るとは思いもしないで安心して横断歩道を渡っているときで慌てた。その車は僕の目の前を、全くスピードを落とすこともせず通り過ぎ、猛スピードでパウリスタ大通り方面へ抜けて行った。運転手が麻薬でも吸引して飛んでいたのか?

 テレビのニュースで、サンパウロ市内には1日4人の交通事故の死亡者が出ている、と伝えていたが、聞いた時にはさすがにそんなには多くはないだろうと、思っていたが、2度も事故に遭いそうになって十分ありえる話だと納得した。

 ちょっと古いが2012年のデーターでは、ブラジルの10万人当たりの交通事故死亡者は24.9人で世界1である。運転は荒いし、飲酒・麻薬吸引運転は平気でする。さらに、携帯で話しながらの運転も多い(ブラジル人はひとつのことをしながら、もうひとつのことができるような器用な国民ではないから注意散漫になり事故を起こしてしまうのだ)。歩行者も、交通規範をあまり守らないからどうしても交通事故は起きる。2012年にはレイ・セッカ(飲酒運転)の罰金が引き上げられ、さらに取り締まりも厳しく行われことによって、交通事故が減ったが、近年また増え始めている。

 僕が思うに、ブラジルは歩行者優先ではなく自動車優先であること、さらに交通事故の罰が軽すぎることが、交通事故が減らない理由だと思う。

 この頃、よくニュースで見かけるのは、歩行者の集団に突っ込み数人轢き殺し、そのまま逃亡したり、車を乗り捨て逃げたりする事件である。逃げた言い訳は「リンチが怖くて逃げた」である。おそらくリンチが怖いというのはいい訳で本気で逃げるつもりで逃げたに過ぎない。酔いがさめ、周囲から出頭した方が、罪が軽いことを諭され出頭するのだろう。このような事故を起こすほとんどの原因は、飲酒運転や麻薬吸引しながらの運転で、たいてい車内には瓶やビール缶や麻薬が散乱している。

 事故を起こした人間は、後で弁護士と一緒に出頭し、保釈金を払って釈放される。例え事故で人を殺しても、たいした罪にならず金で解決される場合が多い。日本やアメリカでは考えられないことである。ブラジルでは交通事故を起こしても、厳罰にならないので飲酒運転も無謀運転も一向に減らない。

 印象に残った人身事故に、自転車の乗っている人を刎ね、車のフロントガラスに片腕をひっかけたまま逃げた事件がある。事故後、腕がフロントガラスにあることに気が付いた運転手は、怖くなって腕を川に捨てる。このときの犯人もディスコの帰りで酔っ払い運転をしていた。事故に遭った被害者は一命を取り留めたものの片腕のない不自由な人生を送っている。その後の賠償の話などは一切ニュースに流れないので日本やアメリカなどのように多額な賠償は行われていないだろう。ブラジルでは、道路を歩くときにも、自分の身は自分で守らなければならないのである。なにしろ、歩行者優先でなく、車優先の国だから仕方がない。交通事故に遭ってもなんの保障もされないから自分で気を付けるしかない。

 週末の早朝は、ディスコやパーティなどに参加した、朝帰りの飲酒運転や麻薬の吸引運転が多いので、サンパウロ市内は怖くて歩けたものでない。こちらがちゃんと歩道を歩いていても、車の方が突っ込んでくるのでどうしようもない。結局、早朝の犬の散歩は、週末はしないことにしている。

 

 

 

 

 

 

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