奇妙なバランス

帰宅中の人々で賑わう、じれいた通り。盗難スマホの売人が出現する

帰宅中の人々で賑わう、セントロのジレイタ通り。盗難スマホの売人が出現する

 昼間にセントロのジレイタ通りを歩くと、盗品のスマホが、市価の3分の1から4分の1ほどで売られている。僕は声をかけられたことはないが、見ているとスマホを持った兄ちゃんが通行人に近寄っては、耳元でささやきまがら、チラリチラリとスマホを見せている。この兄ちゃんたちたちはおそらく売るだけで、盗品専門の元締めがいるのだろう。

セ広場などには、手に手に盗品を手にした4,50人の集まりが良く見かけられる。時計から靴から、それこそありとあらゆるものが売買されたり「トロッカ・トロッカ(交換)」されたりしている。集まりの中に紛れ込んで見ていると、彼らが持っているモノはどちらかというと値の張らないものばかりで、ほとんど使い物にならないものまである。やはり高価な盗品のスマホなどは元締めがいると考えてよさそうである。

正価ではとても買えないような高価なスマホがその4分の1ほどで買えるとなると、購入する人も多い。需要があるからこそ、スマホ強盗が、どんどん増加しているのだろう。TVニュースでは「盗品を買うのを止めましょう」と呼びかけてはいるが、不景気の上に、ほとんど道徳心がない人たちにそんなことを言っても無理な話である。

貧富の差は世界でも有数の国ブラジルではあるが、お金持ちが自由に高価なモノを持って歩けない反面、貧しい人たちが意外に高価なモノを持っていたりする。貧しい人は、貧困に耐えながら生きて行かなければならないが、お金持ちはお金持ちで誘拐されたり、強盗に遭うことを恐れながら生きて行かなければならない。この国では奇妙なバランスが成り立っているのだ。

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