5・1 教員賃上げ要求スト

サンパウロ州の、教員賃上げ要求ストが始まってほぼ50日が過ぎた。教員側は約75パーセントの給料値上げを要求し、5月1日の段階では、市側は大幅な給料の引き上げを受け入れず、引き続きストが続けられることとなった。

現在、教師の初任給は1200(約レアル5万円)。最低給与が約800レアルであるから、決して良い給料とも言えないが、悪い給料とも言えない。75%もの値上げ要求と聞いて、それはあまりにも要求率が大きすぎるのではないかと、僕も驚いた。ところが日系人の友人に聞くと、

「教師の仕事は大変だから、今の給料は低すぎるんです。こんな低い給料では、良い教師は皆、私立学校にいってしまうでしょう。それに75%というのは、交渉で低くなることを想定しての数字なので、最終的には、もっと低い数字で折れるでしょう」

 確かに、ブラジルの公立学校、特に都市の学校はひどい。学校で麻薬売買が平気で行われているし、校内暴力もひどい。生徒に「殺す」と脅される先生もいるらしい。さらに家庭のしつけは棚において文句を言ってくるクレイマーの親・・・、考えてみれば大変な職業である。日本の先生も大変だと聞くが、さすがに生徒に殺すぞ、と脅されることはないだろう。これらのことを考えると、確かに今の給料は低すぎると言える。

教育は国の要でもあるから、教師が安心して仕事ができる給料は必要だ。ただ1か月以上も生徒を放り出してストをする教師も教師だと思う。こういうストを見ていると、つくづくブラジル人は利己的な国民だと思う。これでは、国がよくなることはないだろう。

サンパウロで教師の賃上げ要求ストが行われている中、南伯のクリチバでは、教師の年金改正法案要求デモに2万人が参加し行われた。発表では、1600人の機動隊・警官隊とデモが衝突し双方合わせて200人の負傷者がでたと言う。今日の新聞やニュースでは警官隊のガス弾、ゴム弾、とうがらしスプレーを使用した暴力的行為に批判が集中している。

僕自身も何度かこうしたデモの撮影に行ったが、警官隊の武器使用には腹立たしささえ覚える。まるで動物を撃つかのようにゴム弾を撃ちまくり、自分達はヘルメット・胸当て・盾で身をまもり、少しでも抵抗するような人間がいると引きずり込み、外から見えないように囲って、よってたかって無防備な人間を蹴りまくる。一度、裁判所がゴム弾の使用を禁止する令をだしたが、もしガス弾やゴム弾を使わなければ、荒れ狂う民衆を抑えることができないという批判があり、今は再び使用されている。あの中国でさえもブラジルのようにゴム弾を濫用してはいないだろう。このクリチバの教師のデモには、警官隊17人が出動を拒否したそうである。こうした警官がいるということを知るとほっとする。

僕が今まで見てきたブラジルのデモは、どれも一時期的なものが多く、どんなに盛り上がっていても、知らぬ間に収束するケースが多い。熱しやすく冷めやすいブラジル人らしい、と言えばそれまでだが、実際は政府・与党がマスコミを使ったり、裏から手を回したり、運動を腰砕けにしているような気がする。それに比べ、この教師のストやデモは長期間続くし、教師たちの統制もよくとれている。さらにデモでの横断幕や、演説用トラックを見ているとお金がかかっていることが分かる。教師組合がかなりしっかりバックアップしているのだろう。

教師の給料値上げに対して決して異論はないが、生徒たちを1か月以上も放っておいて、自分達の給料アップを要求するのでは国民に決して同意は得られないだろう。ジウマ大統領は今日「労働者の日」にテレビ演説をする予定だったが、ネットでの演説に急きょ変更した。おそらく国民の批判(前回テレビ演説をしたときには、各地で鍋が打ち鳴らされ、車の警笛などが鳴らされるブーイングが起きた)を恐れてのことだろう。こんな弱気の大統領にはもはや何も期待ができないだけに、今後教師のストがどうなるのか心配である。

 

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