麻薬常習者のたらいまわし

サンパウロの麻薬常習者の巣窟として悪名高いエリアにクラコランジャがある。

そこでは、24時間麻薬がフリーマーケット状態で売買され、約1500人の麻薬常習者が昼夜かまわず麻薬を吸引している。一応、周辺を警官が警備しているものの、ほとんど無法地帯だ。

先日、麻薬常習者と思われる人々を満載したバスが、クラコランジャに乗り付け、人々を降ろすとそのままどこかに走り去ってしまったと言う、近辺住人の通報がニュースに流れた。市の更生プログラムにより社会復帰していく人々がいるにもかかわらず減るどこらか増えているのは何故だろう、と疑問視されていただけにこの通報は大きな波紋を呼んだ。以前、サンパウロ市内から地方都市に路上生活者やストリートチルドレンを連れて行く、という話は聞いたことがあったが、まさかその逆が行われているとは思いもしなかった。

サンパウロ州政府や市も、クラコランジャの存在に頭を悩ませていて、W杯前には、州政府が軍警を派遣しガス弾、ゴム弾で強制的に麻薬常習者の排除が行われた。しかし、常習者は市内各地に散らばり、各地でクラコランジャ同様の場所ができてしまった。東洋人街リベルダージ区から500mも離れていない所にもクラコランジャの麻薬常習者がたむろする様になった。結局この一掃作戦は市内各地に麻薬常習者を拡散してしまい、マスコミや各方面から批判が相次いだ。ちょうど同時期に市によって「ブラッソス・アベルトス作戦」と呼ばれる麻薬中毒者のための更生プログラムを立ち上げられていただけに、強制排除への批判は大きかった。

W杯直前には、イギリスのヘンリー王子が、たっての希望で、この地を訪れた。ハダジ市長自らが清掃されたクラコランジャを案内し厚生プロフラムや復帰した人々を紹介する姿がテレビに流れた。しかし、多くの人々がその場から一時的に排除され、たくさんの警察によって警備が行われ、普段のクラコランジャから程遠いものであった。

 現在、クラコランジャは再び麻薬常習者が集まり、テントや掘立小屋が立てられ一層のファヴェーラ化が進でいる。麻薬に溺れ、社会からおちこぼれ、捨てられた人々が集まる場所となってしまった。

 ブラジル社会は一見健全そうに見えるが、国のことなど何も考えない私利私欲に走る政治家と犯罪の根源である麻薬の蔓延に蝕まれ、どん底へ向かっている気がする

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