日本人と外国人のタトゥーに対する寛容度の違い

 

刺青

この竜の入れ墨で15万円。体全中のタツーを合わせると30万円以上になるという。きれいで格好いいから施したという日系青年

 

 大阪の府職員が、「入れ墨調査」裁判で敗訴してしまった記事を読んで、日本人と外国人のタトゥーに対する寛容度の違いを感じてしまった。今、世界ではタトゥーをいれることは普通のことであるし、ブラジルでは、一つもタトゥーのない人を探すのは難しいほどだ。学校の、知人の先生も腕にタトゥーをしている。就職前に、タトゥー禁止の規則を言い渡されていなければタトゥーをする、しないは個人の自由だ。敗訴したということは、もしかしたら言い渡されていたかもしれないが・・・・。

あえて本音を言うと、政治家や先生、公務員など、人の手本となるべき職種の人はできればタトゥーなどしない方が良いと思う。タトゥーをしていない人の方が、清潔感があって好感を覚える。しかし、これは中年以上の古い人間の考えだ。昔、罪人が入れ墨をされていたことや、多くのヤクザが色鮮やかな入れ墨をしているせいか、中年の僕などにはどうしても入れ墨に対して良いイメージは持てないのだ。

 ブラジルでは、中年以上の人にも、タトゥーに悪いイメージはまったくない、と言える。中年男性が顔中、身体中にタトゥーを施しているのをいくらでも見かける。ある人などは、体に広告宣伝

首にはお父さんの名前、腕にはお母さんの名前。目元にも涙のワンポイントのタツー。身体中にしているという青年。

首にはお父さんの名前、腕にはお母さんの名前。目元にも涙のワンポイントのタツー。身体中にしているという青年。

タトゥーを入れ、お金をもらって入るほどである。僕などからすると、身体に入れ墨を入れて、歳をとって皮膚がたるんだら、汚く見られたものでないだろうと思うのだが・・・。第一、一度入れると気に入らなくなっても完ぺきには消す事ができない。レーザーである程度消すこともできるらしいが、肌は汚くなるし、かなりお金がかかると聞く。おそらく、大半のブラジル人は、そんなことを何も考えないでいれていると思うのだが、どうだろう?

 綺麗な女性でも入れ墨を入れているのを見ると、一挙に魅力を失せてしまう。しかし、これはあくまで僕個人の好みである。顔にも腕にも足にも身体中に入れている人をたくさん見かけるので、少なくとも一般ブラジル人にはタトゥーに綺麗なイメージがあれども悪いイメージはない。

同じ建物のアパートに住む青年がしたばかりのタトゥーにサランラップを被せていた。腕の部分にかなり大きなものである。入れたタトゥーに対しどう思っているのか聞いてみたくなった。「きれいだね~」と(本当はそう思っていないが・・・)とカマをかけてみた。「いいでしょう」と青年は腕を見せながら自慢そうに、少し胸をはった。「結構痛いし、高かったんだ」という。「親からもらった肌に傷を入れて・・・。もう消すこともできないんだよ。どうすんの!」と心の中で思ったが口にはださなかった。本人が気に入っているのに、他人が余計なことをいうべきではないからだ。

 ブラジル人は、タトゥーにしても、豊胸手術などの美容整形などにしても、自分の身体にメスを入れることにたいして躊躇いはないようである。

以前は、路上で、小さな電動針で刺青を施しているのを見かけたが、この頃はすっかり見なくなった。おそらく感染病にかかる人などが続出し、衛生局などに排除されてしまったのだろう。その分、町のあちらこちらで入れ墨屋を見かけるようになった。かなりの店があることからしても、タトゥーを入れる人が多いことが推測される。インディオなども身体に入れ墨を入れたり、儀式で赤い染料を体中に塗ったりすることからしても、大昔からブラジルではタトゥーに対して日本のように悪いイメージはないのだろう。

パーティで腕にシールを貼ってもらっている子供

パーティで腕にシールを貼ってもらっている子供

 子供たちの誕生日パーティなどでも、手や顔に絵を描いたり、シールをはったりする専属のパーティスタッフがいて、子供たちは喜んで手や顔に模様を描いてもらっている。これなどは、タトゥーの走りと言える。小さなころから全く意識することなく肌に模様を描いたりするから、青年や大人になってタトゥーを入れることに全く罪悪感はないのだと思う

サンパウロで見る最近のタトゥーの流行は、日本の入れ墨風で、竜や漢字、はては金太郎や蛸まで入れている人がいる。数年前は、ワンポイントで星や花のおしゃれなタトゥーを入れる人が多かったが、今は日本風の色鮮やかなタトゥーを腕や足いっぱいに彫る人が増えた。小学校時代に、近所のおじさんが腕一杯に刺青をしていた。僕らには優しいおじさんだったがヤクザだったのだと思う。半袖のシャツを着ているときには刺青が見えないようにいつも気遣っているのを子供心に感じた。しかし、ブラジル人にはタトゥーに対してまったく恥じるような意識はないから、むしろ誇らしげに見せている。

数か月前に、お年寄りに無料でタトゥーを入れるキャンペーンが実施されたことがあった。多くのおじいちゃんやおばあちゃんが喜んで入れていた。おそらく日本では考えられないことだろう。僕も、老人が喜んでタトゥーをするなんて思いもよらなかった。ついこの間、イギリスでも、壁の穴の中に手を入れて、壁の後ろにいるタトゥー師が何も教えられずに好きにタトゥーを入れるイベントがあった。施されたタトゥーに対して誰も文句を言う人はなく、ほとんどの人が満足していたという。

 日本では、タトゥーのある人は多くの温泉で入浴禁止だが、中にはシールなどで隠せばOKだという温泉なども増えてきたという記事を読んだ。まったくおかしな話である。そういう中途半端なことをせず、日本独自の文化だから禁止、とした方が良いのではないだろうか。そうしないのなら完全に許可した方が良い。わざわざシールを張る意味なぞないと思う。今や世界中から様々な人種の旅行者が日本を訪れるのだから、もうタトゥー禁止なんていうのは無理だと思う。それだけに今朝読んだ職員敗訴の記事は、世界の流れに逆行する判決だと思った。

 

 

 

 

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