営業禁止フェイラのその後

衛生局に、不衛生ということから差し止めをくらった中国人フェイラ(青空市)近くに来たので、どうなっただろうという好奇心から行ってみた。だいぶん前に一度きたことがあったのだが、その頃は、揚げ豆腐やチマキなどを売っている程度であった。友人がいうには、この頃は大通りを渡ったところに移り、売り子の数もずいぶん増えていたということであった。
 もう4時近くになっていた。フェイラと言えばたいてい朝から昼までが一般的であるから、誰もいないだろう、と思っていたが、なんといた! 荷を下ろして店を開け始める者までいる。店を開けると言っても、箱に入っていた食材を地面に置くだけではあるが・・・。たぶん、衛生局の手入れを恐れて、この時間になったのだろう。全部で12,13の売り子たちが野菜、果物、豆腐などを売っている。魚を売っているものまでいる。面白いことに小型のガロッパ(クエの仲間)は大切そうにビニールでくるまれている。客たちに触られて傷むのを避けるためだろう。ビニールに入れた商品もあるが、野菜などは何もいれずにそのまま側溝のすぐわきの道路に置かれて売られている。おそらく中国本土でもこういう方式なのだろう。
 ブラジルの道路は、夜になるとネズミやごきぶりが側溝から出てきて這いまわり、かなり汚い。道路が大雨で冠水すると、水で覆われた道路を歩くと、熱を出して寝込む人間がいるほどだ。雨の中を歩いて熱が出た、という話をしばしば聞いて不思議に思っていた。病原菌が体に侵入し熱をだす人がいるらしいのだ。それを知って、極力雨の中は歩かなくなったし、ましてや、水たまりは絶対はいらないように気を付けるようになった。さらに犬たちの散歩も前の晩に雨が降った朝は行かないことにしている。日本も道路の地下などはさほどきれいではないとは思うのだが、サンパウロよりは排水もしっかりしているだろうから、もっと衛生的だろう。
 フェイラの売人は道路にじかに商品を置いて全く平気売買している。そんな様子を見ていると中国に駐在していたという商社員の話を思い出した。「サンパウロは中国の都市からすれば、ずっと綺麗です。まだレストランで食べる気にりますよ」
 フェイラの売り子には、なんとなく胡散臭そうなブラジル人が結構いた。中国マネーを狙ったブラジル人が入り込んでいるのか? 中国人に雇われているのか?
フェイラの反対側にできていた水たまりに、中国人のおばさんが座り込んで、バケツを使ってザワザワザブザブ洗い物をしはじめた。うーん。道路の水たまりを利用するのはサンパウロでは路上生活者くらいである。彼らが髪をあらったり、身体をあらったりする姿はよく見かけるが、家にきちんと住んでいる人が水たまりの水を使って洗い物をする姿を初めてみた。その人間は食材を扱うだろうフェイラの人間である。一般のブラジル人は日本人以上に清潔好きな人が多いので、こうした光景を見ると耐えられないのではないだろうか。
 買い物客はすべて中国人だったことを考えると、彼らコミュニティー内なら、彼らの習慣で暮らしていくのは何も問題がないように僕は思う。とはいいつつも、ここはブラジルであるから、やはり、ブラジルの規則に従って生活していくべきだろう。嫌ならでていくしかない。日本移民も、ブラジルに来た当初は生活様式の違いに随分と困ったと聞く

 

 

中国人経営の店がたくさんあるこの街の外れにフェイラはあった

中国人経営の店がたくさんあるこの街の外れにフェイラはあった

studio crystal