投票当日のサンパウロ

 

投票場となった公立学校前。次々と投票に訪れる市民。18歳から投票権はあるが、若者の姿は少ない

投票場となったセントロの公立学校に次々と投票に訪れる市民。危なそうな雰囲気はまったくない。18歳から投票権はあるが、若者の姿は少ない

 

 今回の市長選挙では、全国で候補者が26人暗殺され、8都市に国家防衛軍の軍隊が配備された。そんなこともあり選挙投票場となった公立学校には、厳重な警戒態勢が敷かれ、重々しい雰囲気が漂っているのかと思っていた。セントロ、パウリスタ、ビッシーガの選挙会場となった公立学校を午前中に廻ったが、3か所の投票場となった学校には入り口に警備の警官が2人いるだけで、どこも平穏無事に投票が行われていた。全国の投票場でも大きなもめ事も事件もなく問題なく選挙が行われたようだ。

宣伝ビラ、大小あるが多くは名刺の大きさ

宣伝ビラ、大小あるが多くは名刺の大きさ

当日はビラ配りや旗振りなど宣伝を禁止され、投票会場前ではどこも宣伝は行われていなかったが、セントロの投票場から少し離れた通りでは、隠れるようにしてビラを配している男がいた。ビラを受け取ると、いかにも感謝の気持ちがこもった「ありがとう」というお礼の言葉が返ってきた。普段は気まじめな党員が逮捕の危険を冒してビラを配っていた感じがする。

ビラが配られていない割には、ビラがいたるところに落ちているので変だな、と思っているとちょうど前を歩いていた、目つきの鋭い男が手に一杯もった名刺ほどのビラを、知らんふりをしてパラパラと手からおとしていた。おそらく手渡せなくても道にばらまくだけでも宣伝効果があると見て、歩きながら道に意識的に落としてたのだろう。こちらの男性は、金で宣伝を引き受けた感じだ。確かにたくさんのビラが落ちているとつい見てしまう。少しは効果があるのかもしれない。

投票日、当日はまだだれに投票すか決めていない人が多く、当日の宣伝効果は大きいらしい。そのため、選挙法違反による逮捕の危険を冒してでも、あの手この手の宣伝が行われる。ネット・ニュースによると全国で150人が選挙法違反で逮捕さらたらしい。

夜のTVニュースで、サンパウロ市内で票の売買が行われ25人以上が逮捕されたニュースが流れた。庶民は金になるのなら喜んで売るだろうから

いたるところの道路にまかれたビラ

いたるところの道路にまかれたビラ

、かなりの人々が票を売ったと思われる。これほど政治が腐っていたら、市民にとっては、誰が市長になろうと同じだろう、という気になるし、政治に感心がなくなるのも仕方がない気がする。投票をしなければ、罰金やパスポートなどを取れなくなくなるので、仕方がなくしている人も多い。

 アパートのエレベーターに乗り合わせた親子も「面倒くさいけれど行くわ」と選挙にはまったく関心がないようであった。パウリスタ大通りでは、いつもの日曜日と変わらず、サイクリングやジョギング、ショッピングを楽しむ人で溢れていたし、政治離れは進んでいる気がする。

 政治の腐敗は、一般庶民の選挙離れを促す。それは、悪徳政治家の思い通りである。しかし、逮捕や怪我をおそれずデモに参加するコアな若者たちを見ていると、まだこの国も捨てたものでない、という気持ちにさせられる。TVの人気や、単に笑える演説だったから、という理由からではなく、この国を、この町をよくする政治家をしっかり考えて選んでもらいたい。

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