信用=お金

 

 ミシンを買うのにつき合わされセントロ付近のミシン屋を歩く。
 調べてみるとブラジルでは日本メーカーの「蛇の目ミシン」が一番人気らしい。前日に電話で蛇の目ミシンを頼んでいたセントロの小さな店に行くと、見るからに無愛想な店員が「届いているわよ」と見せてくれた。しかし、それは別のメーカーだった。彼女は、それを僕らが買うと思っていたらしい。「電話を受けた人間はこれだ、と言ってたわ。製品はほとんど変わらないわよ」という。ちょうど電話をしているときに僕も居合わせたが、ちゃんと蛇の目を頼んでいた。「こんなわけのわからないメーカーなんか買わないよ。蛇の目しか買わないから!」と僕がいうと、彼女は、店の主人に電話しはじめた。「日本人が来ていて、蛇の目しか買わないっていってるわよ・・・・」と主人と話した後、「蛇の目は注文して10日から20日かかるらしいわ・・・・」と言う。おそらく製品を間違えた訳ではなく、初めから、蛇の目以外を売りつけるつもりだったようだ。客が、蛇の目だと言っているのに他のメーカーを取り寄せてどういうつもりだ! カッときたが、ぐっと我慢して「いや、蛇の目しか買わない。他に売っているところあるかな?」と聞くと「知らない」とぶすっと言う。ちょっと僕の語気が強かったのか、先客のおばあちゃん二人が、チラチラこちらを見ていた。この店は、汚くて暗くて入った時から雰囲気が悪かった。とにかく、売りつけようという魂胆がミエミエである。そんな店はさっさと出た。アパートへの帰り道、「あんたの言い方が悪いから・・・」と言われたが、相手がちゃんとしようとしないのだから仕方がない。あんな店にはかかわらないのが一番だ。
 サイトで調べて、蛇の目のおいてある店を探すと、ルス駅の近くにあることが分かったそのうちの1軒に電話してみると、在庫があるという。値段も現金払いなら先の店と同じにしてくれるらしい。ドルがどんどん上昇している今、さっさと買わないと、こうした輸入品は上がる一方である。さっそく店に行ってみることにした。
 電話をかけた店の通りに行くと、数軒のミシン屋があった。試しに値段をきいてみようと感じのよさそうなお店に入った。値段を聞くと、現金だったら500レアル(約2万円)にしてくれるという。最初の店よりも100レアルも安い! 男性の店員の感じもいいし、ちゃんと作動するかどうか、買う前にみてくれるらしい。願ったり叶ったりの店だった。値段があんまり安いのでその理由を聞くと「うちは、まだ在庫がたくさんあるのでまだこの値段だよ。無くなったら上げるだろうけど・・・」さらに店の補償も1年つけてくれるらしい。ブラジルの店も探せばちゃんとしたところもあるのだ。
 1ドルが3レアルを越え、いろんな商品が上昇している。こんな時だけに、しっかりと調べて買わないと壊れた商品をつかまされたりする。最初の店で、ブラジル人の適当さには驚いたし、腹立たしかったが、ちゃんとした良心的な店もあることを知り、ちょっと安心した。
 それにしても、ブラジルでは、モノをひとつ買うのにも、時間がかかり大変なことを再び思い知らされた。面倒な思いをせずに、満足な買い物や何かをきちんとするには、やはりお金をかけるしかないのだ。ブラジルでは、信用=お金なのだから。

 

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